今日はシェフが本気で選んだイタリア各地方の上質オリーブオイルをその特徴、使い方などとともにご紹介していきます。
イタリアには500を超える種類のオリーブがあると言われており、各地方の気候風土に適したオリーブがその土地に根付いています。
そのため地方によって造られるオリーブオイルの味わいは全然変わり、その土地の風土を反映させた味わいになります。
オルシーニ DOP コッリーネ・ポンティーネ
産地
・ラツィオ州
品種
・イトラーナ100%
特徴
州都ローマから南に約90kmほど離れた小さな農園で作られているプレミアムオリーブオイル。
EXVオリーブオイルの特徴でもある青みがかった味わい、苦味が前に出過ぎず、まろやかな香りが口いっぱいに広がります。
EXVオリーブオイルというと青み、香り、コク、苦味のどれかが尖っているものが多い中、そのバランスの良さは圧倒的にNo.1。
仕上げにかけると、料理の味の後を追いかけてくるように芳醇なオリーブの香りが加わり、料理の味わいを邪魔せず、寄り添ってくれるようなEXVオリーブオイルです。
合わせる料理、食材
・水牛のモッツァレラ
・トマトソースのパスタ
・鶏肉やうさぎなどの軽い煮込み
どんな料理にも合うので使い勝手は抜群ですが、優しい味わいの食材や素材感の活きたシンプルな料理に合わせた時に本領を発揮してくれます。
カライア バルデイ
産地
・トスカーナ州 シエナ
品種
・フラントイオ 40%
・モライオーロ 40%
・レッチーノ 10%
・オリヴァストラ セッジャネーゼ 10%
(生産年によって配合比が異なります)
特徴
モンタルチーノ、モンテプルチャーノといった有名なワインが生産されているすぐ近く、小高い丘が連なったトスカーナらしい風景の地域で作られています。
この地域のオリーブオイルはハーブや若木のような青々しい香りを持ったものが多く、穏やかな辛みとちょっとした渋み、しっとりとした青みがかった香りが特徴的です。
合わせる料理、食材
・香ばしく焼いたお肉
・白インゲン豆やキノコ
・野菜たっぷりのミネストローネ
この地域は牛肉を骨つきの大きな塊のままレア気味に焼いた代表料理 “ビステッカ” が有名で、同じ土地で造られたオリーブもまた焼いた赤身肉との相性抜群。
青みがかった香りが肉の旨みに寄り添い、飽きさせない味わいに広げてくれます。
他にも、白インゲン豆のようなもったりとした単調な味わいのスープなどとも相性が良く、香りのアクセントに。
フレスコバルディ ラウデミオ
産地
・トスカーナ州 キャンティ地区
品種
・フラントイオ 60%
・モライオーロ 20%
・レッチーノ 20%
特徴
フレスコバルディ侯爵家が作る名門オリーブオイル。
トスカーナワインで有名キャンティ地区で生産されており、標高、土壌などオリーブ栽培に最適な環境で手塩にかけて育てられています。
10月中旬の完熟直前のタイミングで収穫され、6時間以内に圧搾・採油されるこだわりから生まれる鮮やかなエメラルドグリーンのオリーブオイル。
フレッシュでみずみずしい青い香りとピリッとしたスパイシーな辛みが特徴。
合わせる料理、食材
・ローストしたトマト
・グリルしたお肉
・かぶや大根
詰め物をしてローストしたトマトのファルシのように、甘み、旨みが詰まった料理と好相性。
このオリーブオイルの強みは他の調味料と混ぜても負けることのない香りの強さ。
バルサミコや醤油など合わせてドレッシングなどにしてもしっかり調和してくれます。
アルドイーノ フルクトゥス
産地
・リグーリア州
品種
・タジャスカ
・フラントイオ
・レッチーノ
・ビアンコリッラ
特徴
北イタリアの海風が吹き付けるリグーリア州で造られる世界的にも有名なオリーブオイルです。
このオリーブオイルはペーストにしたオリーブの実を遠心分離機にかけ液体を抽出→浸出。
フィルターを通さず自然沈澱で分離した上澄みのみを使うため、えぐみや雑味がなく、そのまま飲めるぐらいピュアな味わいが特徴。
“フルクトゥス” という名前はフルーティな後味である特徴を意味しています。
合わせる料理、食材
・カルパッチョやアクアパッツァなど白身魚の料理
・鶏肉やうさぎなどの淡白なお肉
・カプレーゼ
フルーティでピュアな味わいを活かすため主張の強くない白身の魚、淡白なお肉に合わせるのがおすすめ。
サルトス
産地
・サルディーニャ州
品種
・ボザーナ種
・テルツァ種
特徴
ローマの西側、地中海に浮かぶ太陽が燦々と降り注ぐサルディーニャ島で造られるオリーブオイルです。
“サルトス” とはサルディーニャ語で『自然』という意味。
トスカーナ産ほど強くなく、リグーリア産ほど軽くなく、シチリア産ほど青臭くない絶妙なバランスで、青リンゴのようなフルーティな香りにルッコラのようなほのかな苦味が特徴的。
合わせる料理、食材
・アサリのヴォンゴレ ビアンコ
・サラダ、白身魚、貝類、甲殻類、からすみ
・仔羊のグリル
アサリやムール貝などの貝類や甲殻類などとの相性は抜群。
さらにサラダやカルパッチョはもちろん、仔羊のグリルにも良く合う万能オイルです。
サルディーニャの名産であるボッタルガ(からすみ)をかけて仕上げたアサリのヴォンゴレ ビアンコなんかの仕上げにかけると明らかに完成度が上がります。
レティツィア DOP モンティ イブレイ
産地
・シチリア州
品種
・トンダ イブレア100%
特徴
このオリーブオイルの特徴はその圧倒的な香り立ちの良さ。
トンダ イブレア種で作られるオリーブオイル特有の青いトマトのような香りに、りんごやセロリのようなフレッシュ感のある香りが脇を固めます。
この品種のオリーブオイルは辛み、苦味が際立つものが多いですが、それらに比べて穏やかで料理に合わせ易い。
シチリア各地で作られるオリーブオイルの特徴をいいとこ取りしたような味わいです。
合わせる料理、食材
・魚介のグリル、煮込み
・空豆やウイキョウ
・オレンジなど柑橘のサラダ
グリルで香ばしさがたった魚や、旨みが詰まった煮込み、フレッシュな酸や香りのあるサラダなど、味わいに特徴がある料理に綺麗に寄り添ってくれます。
ピアノグリッロ
産地
・シチリア州
品種
・トンダ イブレア 100%
特徴
上でご紹介した『レティツィア』と同じ品種、地域で生産されているオリーブオイル。
レティツィアよりやや柔らかな青トマト香に、カモミールのような甘いハーブ香が特徴的で、甲乙つけ難いほどの完成度です。
合わせる料理、食材
・蒸し、又はソテーした魚
・魚介の白ワイン蒸し
・サラダ、柑橘、カルパッチョ
『レティツィア』のように香ばしいグリル香を纏った料理より、蒸しやソテーなどの穏やかな調理法の料理の方が香り立ちが良くなります。
サラダや魚介類全般、キノコなんかとも相性が良いです。
バルベーラ社 “ロレンツォ No.1”
産地
・シチリア州
品種
・チェラスオーラ100%
特徴
シチリア西部トラパニで生産されているオリーブオイルで、ピリッとした辛み、青いトマトにアーモンドのようなナッツ香が特徴。
バルベーラ社の香水のような美しい瓶に詰められた上級ライン “ロレンツォシリーズ” の中でもスパイシーな辛みがあるタイプ、深いグリーンの色合いです。
合わせる料理、食材
・ステーキやグリルなどの肉料理
・スパイスやハーブ
・仔羊のマルサラワイン煮込み
臼挽きで造られるこのオリーブオイルは辛み、苦味があるのでそれに負けない肉料理と好相性です。
バルベーラ ロレンツォ No.3
産地
・シチリア州
品種
・ビアンコリッラ 100%
特徴
手摘みで収穫後12時間以内に搾油。オリーブを打ち潰してから搾油しているため、「No1」よりも辛みが穏やかで後味に胡椒の風味を感じます。
合わせる料理、食材
・仔牛、豚、魚のグリル、ソテー
・野菜料理
・フレッシュチーズ
「No1」「No5」の中間的な味わいの「No3」はマイルドな辛みながらも力強さがあり、仔牛のような赤身だけど淡白なお肉や野菜料理におすすめ。
バルベーラ ロレンツォ No.5
産地
・シチリア州
品種
・ノチェッラーラ 100%
特徴
手摘みで収穫されたオリーブを収穫後12時間以内に搾油され造られています。
この「No5」は種を抜いてから搾油されるため、苦味が柔らかでマイルド、甘くクリーミーな味わいが特徴的。
合わせる料理、食材
・クリーム系のパスタ
・チーズ、白身の魚、肉
・ミルクジェラート
「No1」とは対照的な味わいの「No5」は、クエやフグ、乳飲み仔牛のような繊細な味わいを持つ素材や乳製品に使うことでその特徴を最大限に発揮してくれます。
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